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医療DXと病院広報


ITの正しい発展系としてDXが存在するわけなのですが、「医療DX」とはどのようなものなのか、体制づくりはどのようにしたら良いのか、ゴールはどう考えればいいのか、考察します。

経済産業省は2017年8月に示した「攻めのIT活用指針」で、我が国の企業が「IT投資においては、依然として、その目的が社内の業務効率化・コスト削減を中心とした「守り」に主眼が置かれる場合が多い状況にあると考えられる」のに対して「米国などで高い収益を上げている企業では、ITの活用による企業の製品・サービス開発強化やビジネスモデル変革を通じて新たな価値の創出やそれを通じた競争力の強化を目指す、いわゆる「攻め」のIT経営を積極的に行っている」と指摘しています。

オンライン診療の解禁や自動釣銭機の導入が進んでいる事例などをみても、コロナ禍をきっかけとして、ITを活用した院内業務の効率化が急速に進んでいることが分かりますが、上述の経産省の指摘のようにコスト削減の意識ではなく、新たな価値の創出や競争力強化の意識なのかは一考すべきかもしれません。

本来、DXは新たな価値の創出や競争力強化のための取組であるため、先生方にとっては最先端医療に触れる機会や本来業務以外の業務の負担軽減などを生み出すものであり、ほかの医療従事者にも大きな恩恵を与えるものです。しかしながら、SNS的なコミュニケーションツールが業務に導入され、いわゆる通知系のフィード型データの物量が日に日に増してくる中で、若い人たちがLINEなどを「未読スルー」のように扱うようなことは業務上行うことができないため、その管理・統制が必要になります。また、経営データ、検査データなどに代表されるストック型データの分析は必ず求められるようになってきます。

データは、診療圏や受療動向を踏まえて電柱広告はどこに出すのが最もパフォーマンスが良いかなど、積極的に活用できればいいのですが、貯め置くだけでは意味をなさなくなります。

医療DXを推進するためには、データに対する院内体制を考えてみる必要があります。ただし漫然とした体制では必ずどこかに「しわ寄せ」がいくため、ある程度でいいので平時運用を定めた上で、有事運用を考えてみる方が早く体制を構成できます。いわゆるBCP(Business Continuity Plan = 事業継続計画)でなくとも、有事において「いつ」「誰が」「何を」「どうする」程度を検討してみるところから始めると良いでしょう。ここで、「誰が」が体制を作り、「いつ」「何を」が情報のトリアージを行う部分になります。

私たちは、動く生データを取り扱う最初のステップとして患者さまへの広報を目指すと良いと考えています。まず、広報を行うためには背景となる仕組やデータが必要となります。例えば、「当院の感染対策」という内容を告知しようと考えた時に、雰囲気ではなく、きちんとしたバックデータを用いるべきとお分かりのように、患者さまへの広報を手がければ、必ずデータへの見方が変わってきます。当然、経営に資するデータ分析も可能です。

DXのベースには、端末機器、通信手段、クラウドの利用などのインフラがありますが、それらを揃えたとしても、中身のデータの取扱(データの取り出し方法)が一意でないと、結果としてインフラコストばかりがかさみ、それが目につくがゆえ、「業務効率化・コスト削減を中心とした「守り」に主眼が置かれる」事態になってしまいます。そのため、インフラコストは後回しにして、体制づくりにコストをかけるべきです。

攻めのDXに徹するためには、できれば第三者の意見とともに、現状でたどりつけるゴールを設定した上で、院内の体制づくりを行い、繰り返し推進をかけることが大切です。


『医療DXと病院広報(今だからこそ病院広報のIT化)』(寄稿:早川 孝一)(一般社団法人鹿児島県医療法人協会会報vol.48)より転載


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